
大阪出身、10年以上を東京で暮らしていた榮(さかえ)高志さんは、2015年に地域おこし協力隊員として徳島県つるぎ町に移住した。当時、つるぎ町を含むにし阿波地域は『世界農業遺産』の登録を目指しており、榮さんは商工観光課に所属し、事務局の仕事を担当。「視察に来られた方の案内をしたり、地元の方のお話を聞いたり。お陰でこのエリアに馴染むことができました」と榮さん。こうした経験を活かして、2018年に旅行会社「AWA-RE」を設立。現在は英国の折りたたみ式自転車「BROMPTON」を使ったスローサイクリングツアーを、主に訪日外国人に提供している。「BROMPTONは15秒で折り畳みができ、車に何台も積むことができます。車移動と組み合わせて、ディープなコースを案内するのに最適」とメリットを話す。今年に入り外国人の往来が多い京都にも拠点を開設。関西圏と四国を結んだツアーの提案など幅を広げた。ツアーはすべて英語対応が可能。海外の自転車愛好家に口コミで評判が広がっている。「他のツアーでは体験できない、ディープでスローな四国、日本を体感していただき、リピーターを増やしたい」と榮さんは話す。
株式会社 AWA-RE
メールアドレス/info@awa-re.com
HP/https://www.aware-brompton-tours.com
うだつの町並みで、阿波藍の染物体験ができるのは「うだつの町並み 藍染工房」。約20年前、山内浩司社長は「ものづくりをしたい」と異業種から転身して藍染を始めた。「当初は蒅(すくも)を仕入れて染めていたのですが、藍の栽培から染めまで、全てに携わりたいという理由で藍の栽培に挑戦し、7年になります」。減っていく藍畑を目にして、阿波藍の将来に憂いを抱いたのはもちろんだが、「自分たちが天然藍染料で思い切り染めたかったから」と笑う。
やまうちの製品はうだつ工房での販売だけではなく、四国の主だった観光地の土産物店にも卸されている。近年は藍染めを芸術的に活用する染色家も増えた。「その路線もいいのですが、もともと藍染め製品は高級品ではなく日用品。手の届く価格で本物を提供するのが私の役目」。高みを目指すジャパンブルーと裾野を広げるジャパンブルー。その役割は同じように大きい。
うだつの町並み 藍染工房
住所/徳島県美馬市脇町大字脇町字突抜町45-1
TEL/0883-52-5168
定休日/火曜日 駐車場/近隣Pあり
営業時間/10:00~16:00(藍染体験受付〜15:00)
HP/http://aizomeya.jp
歴史ある町並みに価値を見出し、この地で新たな「モノ」を生み出した人たちもいる。美馬市出身の河野江里さんと西岡明美さんは、共にUターン組。「外に出たからこそ美馬市の魅力を再認識できた。それを発信したい」と話すふたりが挑戦したのはクラフトコーラづくり。「みまから唐辛子」やスダチ、山椒など地場の特産品を活かし、個性と飲みやすさを際立たせた「ふっかるコーラ」を開発した。2024年2月に市内の道の駅で販売を開始し、「程よい刺激があり、元気が出た」など評判は上々。何よりも嬉しかったのは、「地元の方が応援してくれること」と口を揃える。河野さんも西岡さんも会社勤めをしつつ、休日を活用したイベント出店にも積極的。「私たちのウリは、フットワークの軽さ。これが商品名にもつながっています」。今や、取り扱い先は約10ヵ所に増え、美馬市のふるさと納税の返礼品にも採用され、オンラインサイトでの販売も堅調だ。
「コーラを通じて得た人との出会いが財産」と河野さん。「徳島や地元の良さをより感じることができた」と西岡さんも微笑む。これからもふっかるに! 二人の歩みは軽やかだ。
クラフトコーラ ふっかるコーラ
HP/https://fukkarucola.stores.jp